辛かったのかなぁ?
苦しかったのかなぁ?
でも、今会えた。
それが、一番。
それだけで、すごく嬉しい。
初めての、血のつながりのある。
家族。
ハリーポッターとアズカバンの囚人
第1話
ハジマリ
八月も終盤に近づいてきた日のこと。ロンドンの魔法通り、ダイアゴン横丁には単身乗り込んでいた。自分のための教科書を買うのと、もう一つ目的があった。
ごった返す人ごみの中、彼女は初めて一人で買い物をするために歩いていたが、家をでて10分ですでに1回目のリーマスシックに掛かっていた。ホームシックではなく、リーマスシックだ。リーマスというのは、本名をリーマスJルーピンという。の名付け親である彼は、祖母の家で暮らしていたを引き取り、親代わりとして一緒に暮らしていてくれる、にとってはお父さんのような存在であった。しかし、的にはお父さんというよりも、兄のような母のような、あまり父という感じでは思ってはいなかった。彼はそれを知らない。
初めての買い物はにとってとても困難を極めていた。リーマスがいないので道がわからないし、お金をおろすのにも戸惑ってしまって小鬼を4回ほど怒らせそうになり、うち一回は本気で怒らせてしまい、地下のトロッコの旅の最中にトロッコから下ろされそうになった。
「ごめんなさい!もういいません!角ひっぱりたいなんてもう言わないから!本当!ごめんなさい!」
そんなくだらない理由でおろされてたまるものかと思い、は好奇心をぎゅっと胸の中にしまったのである。なんとかグリンゴッツで母の口座から自制心をきかせて今もっていける額のギリギリを巾着にいれたのである。
それからは教科書を買うためにフローリシュ・アンド・ブロッツ書店へと向かった。途中でハリー、ロン、ハーマイオニー、そしてあわよくば双子に会えるんじゃないかなぁとわくわくしたが会えなかった。書店では店主のおじさんが忙しそうにホグワーツ生に本を売っていた。
「すみませーん。古代ルーン文字の辞書と、未来の霧を晴らすと、中級変身術と三年生用の基本呪文集くーださーい!」
店主のおじさんはの言葉を聞いて4冊の本をもってきた。はメモをみながらあと買うものはないかよくみてみた。
「お嬢ちゃん、もう一冊いるものなんてないよね?」
「あ、あった!怪物的な怪物本!」
「おじょうちゃーん!それを早く言っておくれ!!」
「え・・あ、ごめんなさ・・」
いい終える前におじさんはショーウインドウの方へと走っていってしまった。は取り残されて首を傾げるしかなかった。
教科書を買い終え、はようやく最後の目的までたどりついた。少しにやにやしてしまう。そもそも、とてもすばらしいことが、今年は起こったのだ。
時はさかのぼって、ちょうど1ヶ月前。の名付け親で親代わりのリーマスの元にある人物が尋ねてきた。
夕食を食べ終え、二人でその食器を洗っているときのことだ。家のドアをノックする音が聞こえた。二人は目をあわせ首をかしげる。
「こんな時間に誰かなぁ?」
「こんな時間に僕を訪ねてくる人なんていたかな」
「私でてくるよ!」
が勢いよく飛び出し、ドアノブに手をつけた。リーマスは少しあわてて自分の杖をもちをおいかける。
「!そんな物騒な!」
「はーい!どちらさまー?」
ドアをあけると、ビックリするような人物が立っていた。は口をあんぐりとあけ、なにも言い出せなくなった。そんなのうしろからリーマスが顔をだした。
「え!あ!どうも、こんばんは・・・え?あ・・あの・・・?」
「やぁ、こんばんはリーマス。いい夜じゃな」
「こんばんは、お久しぶりですね、ルーピン」
リーマスも驚いた。ドアの外に立っていたのは誰であろう、ホグワーツ校長アルバス・ダンブルドアと副校長であるミネルバ・マクゴナガルだったからである。は夏休みが始まってまもないのにまたなにかしてしまったんだろうかと思って焦った。夏休み前に起こした事件と言えば、ジニーの日記の事件であるが、それは解決したはずだ。そのほかにやったこと・・・そんなのは山ほどあって覚えていない。この2年間でマクゴナガル先生に怒られた回数は双子に負けないくらいだと自負しているくらいだ。
「あら、ミス・・・・久々に会ったというのにその態度はなんです?」
「あ・・え・・あ・・こんばんは、ダンブルドア先生、マクゴナガル先生」
はびくびくしながら二人に挨拶した。ダンブルドアはニコニコしながらに「こんばんは」と言い、マクゴナガルは「一番初めに言うべき言葉ですよ」と言った。
「あぅ・・ごめんなさい。あの・・・それで・・・先生がたはなんでここに?もしかして私またなにかしたの?」
「心あたりがあるのですか?」
「な・・・なくはな・・・いいえ!ありません!」
マクゴナガルの頭から蒸気が見えた気がしたのではとっさに嘘をついた。学期終わり直前に太った婦人の肖像画にいたずら描きをしたことなどが心当たりに相当していたが、それはもちろんしらないふりだ。
「今日はあなたではありません。用があるのはルーピン、あなたのほうです。よろしければお邪魔させていただきたいのだけれど、よろしいかしら?」
「え・・・あ、どうぞ。あ・・・少し片付けてくれるかい?それからお茶を・・・」
「はーい!」
放心状態だったリーマスはやっと口を開いた。そして二人を招きいれた。二人ですむには十分なのだけれど、いざ4人で家の中に入るとやはりせまいなぁとは思った。キッチンと居間と食堂は一緒。奥に小さな洗面台と浴室とトイレが一緒にあって、その反対側に寝室がある。ちなみにとリーマス二人の寝室である。この家には寝室は2つない。それがこの家のこれからの問題だ。とリーマスはひそやかに思っていた。だが、今の問題は、この偉大なる二人の魔法使いがなにをしにリーマスを訪ねてきたのかということだった。
「あ、リーマス!お茶・・でがらししかないよ・・・それもこれ4回目くらいのだよ・・・あたらしい紅茶の葉ないよ・・どうする?」
言っておくが二人の暮らしはきわめて貧しかった。唯一欠かさないものといえばチョコレートで、時々朝ごはんがチョコレートだったりすることもあるのだった。紅茶の茶葉にいたっては10回ほど同じのを使うのは常識である。というか恥ずかしいのを承知で言うと、本当なら30回くらい使ってから使うのが常識である。10回で捨てるなど二人にはもったいなくてできない。
「それも飲んでみたいのう。いれてくれんかね、」
聞こえていた。恥もなにもあったものじゃない。とリーマスは顔を赤らめながら「すみません」と言って笑うしかなかった。
「はもうここの暮らしになれましたか?」
お湯が沸くまでの間、マクゴナガルがに聞いた。二人は食堂の4人用のテーブルに並んで座っていた。リーマスはダンブルドアの向かい側、はマクゴナガルの向かい側だった。これじゃあ四者面談だ・・・とは思った。
「え・・あ、はい。もう3年目だし・・・毎日楽しいですよ」
「それならよいのですが、ルーピン、が迷惑をかけていることなどありませんか?」
なんでそんなこと聞くんだよ!とは心の中でマクゴナガルにつっこみを入れた。なにも言うなよーリーマスー!と心の中で祈るしかなかった。
「いいえそんな。迷惑だなんて。僕はがいてくれるだけで嬉しいんです。だから迷惑なんてなにもないですよ」
良い答えだよリーマス!とは心底安心した。
お湯が沸いたようなのでは一度席をたち、ティーカップを4つだして紅茶をいれた。お茶菓子を探したがそんなものあるわけなかった。仕方ないのでチョコレートをだしたが、リーマスの視線がとても痛々しくに一瞬突き刺さった。
「さぁ、それでは本題に入ろうかのう。単刀直入に申しますとな、リーマス、君に闇の魔術に対する防衛術の教授になってほしいというお願いをしに来たのじゃ」
「えぇ!?」
今日2回目のビックリしたことがおきた。しかしこちらのほうがビックリレベルは高い。は高揚する気持ちを抑え切れなくて椅子から立ち上がってしまった。
「リリリリリーマスが・・・先生・・・先生・・・・ていうか・・・リーマスが・・・職を・・・就職・・・ぎゃーーー!!」
「!すこし落ち着いて・・あぁ・・僕も少し落ち着かないと・・えええええと、ダンブルドア、それはあの・・なぜ私なんかに?」
「君しかいないと思ったのじゃ。昔から成績もよかったし、君はとても優秀じゃ。それに人に教えるのも上手じゃった。それに、君が先生になれば、みんな喜ぶじゃろうて」
が小躍りしているのをダンブルドアがニコニコしながらみていた。その姿に母をみたのだった。の母を。リーマスにはそれがわかった。教師の仕事は、の母が一番なりたかった職なのだ。
「あぁ・・それは、喜びますね。彼女の・・夢だったから」
大人たちが沈黙していることにしばしは気づかなかったが、誰も言葉を発さないのでやっと気づき、落ち着いてもう一度椅子に座った。
「よかったねぇ、リーマス。今年はずーっと一緒だよ。寂しくないね」
「あ・・恥ずかしいことを言わないでおくれよ。二人の前なんだよ」
「え?なんでさー!私はとーっても嬉しいよ。だって、リーマスとそんなに長い間いれたわけじゃないし。夏休みの間だけって結構寂しいしさ。ほとんど私たち手紙のやりとりしかしてないし。春も秋も冬も!ずーっと一緒にいられるなんて夢のようだよ!」
うししし!と満面の笑みを浮かべてが言うもんだからリーマスは苦笑してしまった。嬉しくて仕方がないが、これは自分が受けるべき仕事ではないと思っていたのだ。
「あの、ダンブルドア先生、申し訳ないんですが、私にはもったいなさすぎて、お受けできないです」
「はへ!?」
驚いたはまたも口をあんぐりとあけた。今日3度目である。ダンブルドアもマクゴナガルも予期していたのかほど大きいリアクションはしなかった。
「理由をたずねてもよいかのう」
ダンブルドアが聞いた。は黙って聞く体勢を整えていた。
「あ・・・あの、例のことも然り、私には人にものを教える技量などありません。それに、私の・・・その・・・体質のこともそう容易く受け入れられるとは思えません」
「その点は心配ない。ホグワーツの先生たちには了解をとってある。全員じゃ。それに、ファッジに関しても問題はない。教える技量がないと言ったが、それは間違いじゃ。君の技量は誰よりもわかっておるつもりじゃよ。学生時代、君は何人の学友に勉学を教えて救ってきた?それと同じことを少しお金をもらってやればいいだけのことじゃ。なにも悪いことではないよ」
「しかし・・・」
「ルーピン、ダンブルドア先生が直にあなたをと推薦してらっしゃるんですよ。それを無碍にできるのですか?」
「いえ、あの・・・とても光栄だとは思います。ですが・・・」
「・・・でもとか、けどとか、いえとか、そういうのをいうのはさ」
大人たちの話をぶった切って、は突然口を開いた。とっておきのいたずらを思いついたときのような、少し憎たらしいほどの楽しそうな顔だ。
「その口角のあがったお顔を戻してからにしたほうがいいんじゃない?うそつきリーマス」
「え・・!?え・・?」
「ダンブルドア先生たちの話聞いてからずーっとにやけっぱなしだよ、リーマス。そんなさ、先の不安を心配する前に、明日の我が家の食卓を心配しようよ。そのためには職は必要だよ!実を言うと、毎日チョコレートも飽きてまいりましたので!」
最後の言葉に二人の偉大な魔法使いは大笑いした。マクゴナガルさえ口をおさえながら笑っている。リーマスは顔を真っ赤にさせて恥ずかしがっている。
「決まりじゃな?リーマスや」
「え・・・あ・・・あー・・・・よろしくお願いしても、よろしいでしょうか?」
「もちろんじゃ」
「いーやったぁ!」
はいすから飛び降りてリーマスに抱きついた。リーマスはの頭を撫でながら、まだ頬を赤くしてダンブルドアとマクゴナガルにペコペコしていた。
久々に書いたら楽しいのなんのって。ヒロインとリーマスのやりとりがもーう楽しい。(080325)
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